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2000年1月30日 報道発表 |
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第22回「東京ビデオフェスティバル」入賞発表と概要 ・両大賞は、北海道の高校放送部とスペインの映像作家が受賞 |
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日本ビクター(株)主催・第22回「東京ビデオフェスティバル」に、世界32の国と地域から2,018点の作品の応募があり、厳正な審査の結果、入賞作品49点が選出されました。 ビデオ大賞は、北海道の札幌藻岩高校放送局の作品『残された4000枚の絵』が受賞しました。ナチスドイツの強制収容所内で子どもたちが密かに描いた絵の展覧会「テレジンの幼い画家たち展」が札幌市で催されたのをきっかけに、地元の高校生たちがビデオで歴史への問いかけを行い、悲惨な戦争の一面を浮き彫りにしたレポート作品です。 日本ビクター大賞は、スペインのペドロ・バレステロスさんの作品、『ruido(騒音)』が受賞しました。一人のセールスマンを襲った災難を、デジタル映像処理を駆使してユーモラスに描きながら、文明を痛烈に批評したドラマ作品です。 なお、過去3度にわたるビデオ大賞受賞経験者、河田茂さんの応募作品『老いなずむ』を、審査委員会は「20世紀が生み出した個人の映像メディア=ビデオを見事に使いこなし、独自の表現世界を創造した」と評価、特別に20世紀大賞が贈られることになりました。 今回は特に、若者世代の本格的な台頭、デジタルビデオ時代を反映した巧みな映像処理の普及が目立ちました。また、記録、表現、コミュニケーション、そしてエンターテインメントなど、ビデオの持つ様々な機能と可能性を、作者の狙いに沿って巧みに活かした作品がさらに増加しています。 なお、発表会終了後から当社ホームページ上で、今回の上位入賞10作品の動画配信を行います。 URL<http://www.jvc-victor.co.jp/tvf/>
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1.若者の躍進目立つ。高校生作品がビデオ大賞を初受賞 今回の全応募作品の中で10代、20代が制作した作品が43%を占め、当フェスティバル史上初めて40%を超えました。ビデオを道具にしたメッセージの発信、表現やエンターテインメントの追求に、いよいよ若者たちが本格的に参加してきたことを示すデータです。入賞作品数でも20代以下の作品が、49点中17点を占めています。 この流れを象徴するように、栄えある第22回ビデオ大賞に、高校生グループの作品『残され4000枚の絵』が選ばれました。チェコのテレジンという町に作られたナチスドイツのユダヤ人強制収容所。大人たちと一緒に連れてこられた子どもたちが、ここで15,000人も殺されたという。その子たちが生前に描いた絵の展覧会開催を契機に、高校の放送部員たちが戦争の悲劇を見つめなおし、ビデオ・レポートにまとめた作品です。第1回大賞を中学生グループが受賞して以来の、10代のグランプリ受賞です。 「テーマに対する明確な視座、丁寧に計算された編集意図がしっかりと見えてくる作品。自分たちでつくるVTRの可能性に対して正面から挑んで成功させた、力に満ちた作品である」(椎名審査員評)。「見事な構成と巧みな編集、上手な音楽の使い方、すべてに感心した」(羽仁審査員評)。「全編が心の対話になっている。事実を正確に理解し、伝え、共有する真摯な姿勢には気品さえ感じられる。」(中谷審査員評)など、審査会で一致して高く評価されました。 2.プロもアマチュアも、デジタル編集の妙が冴える作品の増加目立つ 日本ビクター大賞を獲得したのは、風刺に富んだ短編ドラマ『 ruido(騒音)』。作者はスペインの映像作家で、巧みな特撮と自由奔放なデジタル画像処理を駆使し、幻影の世界に迷い込んだ一人のセールスマンが、行く先々で炎につきまとわれる一日をテンポ良く描いた作品です。 「衣食住のすべてを石油や石炭で賄ってきた私たち。石油製品を売り歩くセールスマンが主人公のこの作品は、そんな私たちの20世紀のパロディ。笑わせながらも批判の目は鋭い。」(中谷審査員評)。「『ruido』はしたたかに要点をついた風刺エンターテインメントで、特撮もうまい。作者固有の作風や文法ができており、落ち着いた実力者の作品だと思う」(椎名審査員評)。 そして、「デジタル機器などの普及により、頭の中で想像したイメージが、割と簡単に映像化できる。この技術の進歩で、ビデオは一段と遊び道具に近づいた気がした。」とは、竹中審査員の評ですが、この作品に代表されるように、画像処理や編集にデジタル機器を活用する傾向が、プロ、アマチュアを問わずビデオ作品づくりに急速に広がっています。家庭用デジタルビデオカメラが全盛となる中で、高画質でより多彩な作品づくりが簡単にできるようになってきました。 3.審査員に「参った」と言わせた河田茂さんに、特例「20世紀大賞 広島の河田茂さん(70歳)は、1991年の第14回TVFで自らの定年退職を描いた作品でビデオ大賞を受賞して以来、すでに3度の大賞受賞者ですが、今回も『老いなずむ』という力作で新境地にチャレンジです。老境にある自分自身に内観の眼を向けつつ、淡々とした語り口と諧謔精神、意表を突く編集により、見る者を“河田節”の映像世界に誘うビデオエッセイ作品です。 「参ったな、と思った。こんな境地と、それに伴う技術の高みに達した作品は、もう他の作品と比べて優劣を競うことなど不可能だ。これは成程、己の老いによる性的不能を描いた、極めて個人的な小さな作品だが、(中略)小さな己と対峙して、広大な宇宙に立ち向かう、それが創造なるものの本質的な冒険であるなら、これは見事に天地の普遍性を獲得した作品だ」(大林審査員評)。「河田さんの作品には、一点のあいまいさもない。終始、独特の映像美と峻烈な編集美で、鮮やかに切りまくる。このご手腕の作品を拝見するのは、格下の審査員である僕には、いささか荷が重い。それなのに、見ているあいだは感心して笑いころげてしまう。誠に困ったものだ」(羽仁審査員評)。 「この作者の凄いところは『他者』ではなく只ひたすら見事というほど自己に拘り続けるところである」(小林審査員評)。 4.新しいエンターテインメント創作への試み 日本ビクター大賞の『ruido』をはじめ、今回も新しいエンターテインメントを目指した優れた作品が入賞しています。京都の中学校写真部の生徒たちが新鮮な感覚で作り上げたアニメ作品『メザニンタウン〜二次元少年少女の冒険』(ゴールド賞)も、その代表作の一つ。審査員のマリ・クリスティーヌさんは「見るものを冒頭からその世界に引き込む不思議な魅力を持つ作品。デジタルビデオカメラを上手く使い、新しい試みで楽しく工夫されたものになっています。同時に自分たちの街や社会への問題意識も感じられました」と称えています。 『草原の音楽』(ゴールド賞/岐阜県)、『Por una Moneda(コインのかわりに)』(シルバー賞/28歳・学生・アルゼンチン)、『INFINITE DREAM』(ブロンズ賞/16歳・学生・千葉県)、『触覚』(ブロンズ賞/39歳・アーティスト・東京都)なども、独自の手法でエンターテインメントを追求した作品です。 5.“撮影の確かさ”が記録映像の説得力を約束する ビデオの力は何といっても動かぬ事実を記録として映像に残すこと。しかしその説得力は記録者の被写体に向ける視点と、撮影そのものの確かさによって大きく左右されることも事実です。 そういった意味で抜きんでていたのが、『Patagonia 999(パタゴニア999)』(ゴールド賞/32歳・人類学者・アルゼンチン)と、『MIGALA BA(やぁ、こんにちは)』(ゴールド賞/51歳・医師・イタリア)の2作品でした。椎名審査員はこの2作品について「撮影の見事さに唸った。作品的にも紀行記録映像のセオリーを見事に踏まえ、見るものを作者の旅する世界に無理なく引き込んでくれる。最優秀撮影賞、編集賞ものだ」と称えています。山深い村に住む老いた姉弟の生活を撮った『シュバンディの三姉弟』(シルバー賞/23歳・学生・スイス)も確かなカメラワークが光ります。 6.ビデオは女性の感性とパワーを映す鏡 当ビデオフェスティバルへの応募者に占める女性の割合は回を追って増加傾向にあり、今回は全体の20%以上が女性からの応募でした。ビデオは女性の感性とパワフルな行動力を活かすにふさわしいメディアと言えそうです。 一貫してビデオの“純文学”路線を歩む注目の作家、金川貴子さん(25歳・滋賀県)は、若者の満たされない心の彷徨を独特の映像感覚で作品化した『ホームラン』で、見事ゴールド賞に輝きました。その他、晩年に老人性痴呆症となり逝ってしまった母の苦難の生涯を娘の視点で綴った『生と死・あるがままに』(シルバー賞/62歳・主婦・東京都)、グループで“人に優しい街づくり”を目指す活動をレポートした『地下鉄ウオッチング』(ビデオ活動賞/48歳・主婦・大阪府)はじめ、『Nachtmusik』(47歳・ドイツ)、『ミエナイセン』(23歳・学生・大阪府)、『大人がはじめるバレエ』(37歳・大阪府)など、女性作品の入賞は13点にのぼりました。 7.映像による情報伝達力、訴求力を活かした活動の着実な歩み ビデオの映像で訴える力を活用した活動の記録や、その成果を物語る作品も、回を追うごとに充実してきています。そのビデオ活動優秀賞に『Die Berliner Mauer(ベルリンの壁)』(ドイツの女性プロデューサー)と、『12年間の飛跡』(61歳・会社員・愛媛県)の2作品が選ばれました。前者は、ベルリンの壁崩壊前後に、人々の心と社会に起こった変化と、歴史の風化を描いた映像ドキュメント。後者は、人間と白鷺たちの12年間にわたる葛藤の記録を通して、日本社会の繁栄の危うさを浮き彫りにした労作です。また、警察官のモラールアップを目的に制作された広島県警の手作りドラマ『HPIニュース』、法律知識の啓蒙を目指し、青少年が参加して制作されたブラジルの教育ビデオ『Se Liga no Estatuto(法律を知ろう)』などにも、ビデオの特性を活かした活動の成果が伺えます。 8.題材・テーマに事欠かない被写体、それはやはり“家族” スチルカメラと同様、ビデオカメラのレンズが向けられる最も身近な被写体はやはり家族です。作者が家族への思いを込めて撮った個性的な作品は、共感を呼ぶものが少なくありません。 『笑ってアーちゃん』(シルバー賞/56歳・教師・神奈川県)は老人性痴呆症が進む母に、『愛しきものは…』(ブロンズ賞/69歳・東京都)は父親が見た娘夫婦に、『哲と日の出山』(ブロンズ賞/41歳・会社員・埼玉県)は父親から見てもう少し元気が欲しい次男に、それぞれカメラが向けられ、いずれもしっかりと結ばれた家族の絆がうかがえる作品でした。 |
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<概 要> ・ビデオによる映像の記録、メッセージの伝達、そして自由な映像表現の可能性を広げる「ビデオソフト制作」の普及・振興を目指し、日本ビクター(株)主催により1978年から毎年1回開催しています。 ・応募作品は、ビデオカメラで撮影した20分以内の作品であれば、テーマ、題材は自由です。 ・応募資格に制限はありません。プロ、アマチュア、個人、グループ、国籍、年齢を問わず、どなたでも応募できます。 ・今回(第22回)までの延べ応募作品数は、世界80以上の国と地域から30,150点にのぼります。 ・毎回、時代を反映した優秀作、話題作を輩出して注目を集めるとともに、多くの人々にビデオ制作の面白さを伝え、新たな制作を動機づけてきました。 <賞の内容> (第22回) ・「ビデオ大賞」(1点) 賞金:50万円/副賞:ビクタービデオカメラ(ポケットデュアルムービー「GR-DVL700」)&D-VHSデジタルレコーダー(「HM-DR10000」)/賞状 /トロフィー ・「日本ビクター大賞」(1点) 賞金:50万円/副賞:ビクタービデオカメラ(「GR-DVL700」)&日本招待旅行(海外受賞者の場合)/賞状/トロフィー ※「20世紀大賞」(1点) (審査委員会の提案により第22回の特例として設定) 賞金:50万円/副賞:ビクタービデオカメラ(「GR-DVL700」)/賞状 /トロフィー 〔作品に対する賞〕 ・「ゴールド賞」(5点) 賞金:25万円/副賞:ビクタービデオカメラ(「GR-DVL700」)/賞状 /トロフィー ・「シルバー賞」(10点) 賞金:15万円/賞状/楯 ・「ブロンズ賞」(16点) 賞金:10万円/賞状/楯 〔活動に対する賞〕 ・「ビデオ活動優秀賞」(2点) 賞金:25万円/賞状/楯 ・「ビデオ活動賞」(3点) 賞金:15万円/賞状/楯 ・「ビデオ活動奨励賞」(5点) 賞金:10万円/賞状/楯 〔第22回特別賞〕 ・「20世紀特別賞」(5点) 賞金:10万円/賞状/楯 <審査委員会> (敬称略) ・審査委員 大林宣彦(映画監督)、小林はくどう(ビデオ作家、成安造形大学教授) 椎名 誠(作家)、竹中直人(俳優、映画監督)、中谷芙二子(ビデオ作家) 羽仁 進(映画監督) 〔以上50音順〕 河田晋吾(日本ビクター(株)ビデオ事業部副事業部長) ・ゲスト審査委員 マリ・クリスティーヌ(異文化コミュニケーター) |
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この件に対するお問い合わせ先 日本ビクター(株) 広報室 電話番号03-3289-2813 |
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